学校薬剤師活動メモ

 

ネオクロール・ニュー・S 追加投入

 広島市ではプールの消毒には次亜塩素酸ナトリウム液を連続注入で使っている学校が多い。
 授業前に残留塩素を測定し、不足している場合には、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム63%のネオクロール・ニュー・Sを投入して、必要な残留塩素濃度を得るようにしている。その投入量を簡単に誰でも決定できるように表を作ることを勧めている。

ネオクロール・ニュー・Sの比重は実測してみたところほぼ1であり、200mL(カップ1杯)で200gである。
私が担当している学校の大プールは25m×15m×1.2m=450m
3である。メーカ資料から計算すると、残留塩素0.1mg/L上昇させるには約90g必要となる。授業開始時の残留塩素濃度の目標を0.7mg/Lにして計算すればよいと考えている。

残留塩素測定値 ネオクロール・ニュー・S
投入量
0.6 mg/L 90g(90mL)
0.5 mg/L 180g(180mL)
0.4 mg/L 270g(270mL)
0.3 mg/L 360g(360mL)
0.2 mg/L 450g(450mL)
0.1 mg/L 540g(540mL)

水量450m3のプールの場合、上記の表を倉庫内に貼っておけば、誰が管理をしてもほぼ同じ結果を得ることができる。

 

ラジオNIKKEI 「学薬アワー」出演

  「水泳プールの管理について」

 

 

 

広島県ではプールろ過装置はミウラ化学のA-1フィルター

広島県の学校プールではろ過装置として例外なく(たぶん)ミウラ化学装置株式会社のA-1フィルターが使われている。珪藻土を使ったフィルターである。
http://www.miura-eco.co.jp/business/pool/a1_filter_pool.html

この装置の概要は以下の通りである。

プールから帰ってきた水はヘアーキャッチャーで大きいゴミを取った後、ポンプで五方コックに送られ、1あるいは2の方向でろ過エレメント(後ろにある黒い層になったもの)に入る。これは、逆洗して反対から使うことができる 。五方コックに戻ってきたきれいな水はプールに送られる。

五方コックというのはポンプから1本(黒上向き矢印)、エレメントから左右で2本(赤黒の矢印、右からのはコックの後ろから入っている。)、プールへ1本(上向きに出ている)、排水(黒下向き矢印、ガラスチューブが付いて使用済み珪藻土を確認することができる)が1 本、合計5本のパイプが付いているので五方コックという。いまは、フィルターの左から右へろ過している状態。逆洗するときにはコックを左回りに90度まわす。
ポンプからの水は赤い矢印の方向に流れるようになり、左からろ過に使った珪藻土と汚れが戻ってきて右下の排水口に出て行く。
そのときスラリータンクに珪藻土を入れ、 1の黄色いコックで水を流しながら、 2のコックを開き五方コックに珪藻土の混ざった水を送る。それが上の赤い方向にながれ、フィルターに張り付いて、ろ過を行う準備が完了する。排水に珪藻土が出てこなくなったのを確認して、五方コックをもう90度左に回す。

排水に送られていた水はプールに行く管に送られ、新しい方向のろ過が始まる。

緑の小さいコックが、ろ過水の透明度を測定するための採水コックである。開いてすぐはゴミが混ざるため、あらかじめ開いてぐりぐりと動かし、そのまま放置して、 コックにたまったゴミが全部出てから採水する。

 

上の透明チューブは次亜塩素酸ナトリウム液注入用である。 右の大きいタンクに次亜塩素酸ナトリウム液が入っており、黄色い小さいポンプでろ過水に加えられる。 塩素剤は違う種類が混ざると、ガスが発生したり、爆発・発火の可能性があるので、同じ場所に、他の種類は保存しないことが重要である。

 

 

パワーポイントのちょっと使えるテクニック 2006.12.22

1.スライドショーを直接起動する。

 デスクトップにおいたPPTファイルあるいは、PPTファイルへのリンクを右クリックしてスライドショーを選択する。こうすると、編集画面からF5を押すことなく直接スライドショーで起動する。
 また、編集画面からファイル>名前を付けて保存する>ファイルの種類にスライドショーを設定し保存すると、拡張子がppsとなり、最初からスライドショーで起動するファイルとなる。

2.スライドショーを黒画面にする。

 スライドショーを開始後、Bキーを押すと画面が真っ暗になる。こうしておいて講演開始時に何らかのキーあるいはマウスを操作することにより、スライドショーを開始することができる。BキーはBlackのBであり、Wキーを押すと画面は真っ白(White)になる。復帰はどのキーでも可。

3.任意のスライドにジャンプ。

 スライドショー中に数字を入力し、エンターキーを押すことで任意のスライドにジャンプすることができる。例えばどのスライドを表示しているときでも1を押してエンターでトップのスライドに戻る。スライド番号→エンターで任意のスライドを表示。

4.編集中のスライドからスライドショーへ。

 F5キーは1枚目のスライドからスライドショーを始めるキーだが、Shift+F5で編集中のスライドからスライドショーを開始する。マウスで左下の小さいアイコンを左クリックする必要はない。

 

循環ろ過装置の処理水質(濁度) 2005.7.30

 私の担当校の一つはハイクロネーター N-10型を使っています。

他の学校はほとんど液体の次亜塩素酸ソーダを注入する物ですが、ここだけは錠剤のハイクロンLT−200を使っています。奥にかすかに見えているのがハイクロネーターです。
ポンプの出口(五方コック前)を分岐して水を取ります。
その水が上の流量調節コック・流量計を通り、白い薬剤タンクを通って、右の写真の赤いコックから濃い塩素をふくんで戻っていきます。下の青いコックは清掃用ドレーンです。
 
この塩素を含んだ水が塩ビのパイプを通って、ろ過水に混ぜられてプールに行くことになります。ろ過器前後の圧力差を利用して動力を使わず塩素を注入できるのが売り物になっています。
 この学校では右の写真にあるように、その途中に空色のコックが付けられてそこから採水するようなっていました。
初めはそのまま採水し、ろ過水として検査に出そうとしました。しかしどうも納得がいかない。この濃い塩素を含んだ水はろ過器を通過していないのです。ハイクロネーターを止めるしかない。右の写真のようにこちらを通過する水を赤いコックで止めて、採水栓のコックをあけて10分くらい放水しました。再度採水して提出しましたが、濁度は0.1と望ましい値ぎりぎりでした。

 学校によっては液体塩素注入器でもこのような構造で採水栓を付けている場合もあるようです。その場合、プール水ではありませんが、次亜塩素酸ソーダ薬液そのものを混合して採水することになります。かならず注入器を停止して採水に取りかからねばならないですね。

 

私が小学校の授業で使ったスライドです ここをクリック

 2時限いっぱいの授業です。表示できない場合フラッシュというプラグインをインストールしてください。パワーポイントのファイルをJetsoft P2S Converterというソフトでフラッシュにするのに結構制約があります。文字のアニメーションなどが変になっています。画面いっぱいに入れた画像があると、うまく変換してくれないので、画像を縮めたりしています。

ダニまたはダニアレルゲンの検査

 平成16年2月10日に「学校環境衛生の基準」が改訂された。「教室等の空気」の検査の一部も変更され、「ダニまたはダニアレルゲン」の検査が加えられた。検査時期は夏期に行うのが望ましいとなっている。
 検査方法は、
「保健室の寝具、カーペット敷の教室等、ダニの発生しやすい場所において、1u を電気掃除機で1分間吸引し、ダニを捕集する。捕集したダニ数は顕微鏡で計数するか、アレルゲンを抽出し、酵素免疫測定法にてアレルゲン量を測定する。なお、これらと相関の高い方法によって行うこともできる。」となっている。判定基準は
「ダニ数は100 匹/u 以下、又はこれと同等のアレルゲン量以下であること。」
 今回、ニューロンサニター社の「ダストサンプリングセット」、ダニ簡易検査キット「マイティチェッカー」を使ってみた。これはダニ由来のたんぱく質の免疫学的検出法(モノクローナル抗体を用いた酵素免疫法)を用いる測定用キットである。


ダストサンプリングセット

マイティチェッカー

ダストサンプリングセットは掃除機のホースに取り付けて、中に納めた灰色のフィルターにゴミを採取する機材で、標準価格が3,150円。マイティチェッカーは、フィルター、抽出液(錠剤を溶解して使用期限6ヶ月)、容器、チャック付きビニール袋、チェッカースティックのセットで10回分、12,600円。(標準価格はもっと高い)インターネットで購入可能である。
 検査は簡単である。掃除機は5〜600Wの普通のものでよいが、最近の高機能の掃除機は、ホース連結部分にいろいろな配線があり、使えない。単純な丸い連結部分を持つものを使用する。
 1u を1分間吸引し採取したゴミをフィルターと共にチャック付きビニール袋に入れ、その上から、抽出液を容器のふた1杯加えて揉む。このとき、フィルターを丸い形のままにしておくと揉みにくいし、液がフィルターに吸い込まれてしまって、後でチェッカースティックを抽出液に浸漬することも出来ないので、袋の中で、くちゃくちゃに折りたたむようにすると良い。1分間揉んだ後、抽出液を絞り出すようにしておいて、スティックの抽出液浸漬部をDIPラインまでいれ、3秒間ゆすらないで漬けておく。

取り出して、水平に10分間放置して判定する。判定用色見本は同封の説明書にあるのだが、「+」(150匹/u)と「++」(350匹/u)の判定は少々迷うところである。判定基準が100 匹/u以下となっているので、なんとか判断、事後処理の指導は可能であろう。

ニューロン・サニター株式会社
所在地:新潟県長岡市摂田屋町
2633-3
電話:0258-22-1177
http://www.newron.co.jp/gyoumu/maity/maity2.htm

その他のダニ・ダニアレルゲン簡易検査としてはアカレックステストがある。
株式会社 クラ商会
所在地:東京都豊島区南大塚2丁目39番9号 田中ビル3
F
電話:03-5976-2020
http://www.horae.dti.ne.jp/~coopy/goods/acarex.html

 

プール水の採水

15年の改訂でろ過器出口の濁度を測定することになった。
プール水の濁度は2度以下とされたが、循環ろ過装置の処理水質は、その出口における濁度が、0.5度以下であること(0.1度以下であることが望ましいこと)。また、循環ろ過装置の出口に検査のための採水栓等を設けることとされたが、この採水栓が問題である。1年間動かしていない採水栓から採水するのであるから、どうしても錆やゴミが混入しやすい。5分以上放流し、コックを触ることなくそのまま採水瓶に採水する。コックを閉め、採水瓶を採水栓の下に置いてからコックを開けると、必ず錆やゴミが混入する。

こんなんを書いた後、私自信が今年やっちゃいました。濁度1.1で再検査。
他の採水の間、5分以上放流していたのに、体育の先生が気を遣って採水しやすいようにコックを少し閉めてくれたのです。目の前で。また数分間採水できないと言うのも悪いような気がして、ちょっとしか待たないで採水したのが悪かった。錆が紛れ込んだようです。アッチャー。

動画の表示(映写)が外部ディスプレイで黒画面になる件

 学校薬剤師として禁煙や薬物乱用防止の授業を行うことがある。私はその場合、コンピュータで動画を使う。私のノートパソコン(sony PCG-V505S/PB)では動画を表示 する 場合、内部液晶と外部ディスプレイ(液晶プロジェクター)を同時使用 していると、外部の動画部分だけが真っ黒になって表示できない。
本体液晶を消して外部だけにすると、ちゃんと写るのである。 あきらめて、動画を使う場合は本体の液晶は使わないようにしていた。 いろいろ試行錯誤した結果、画面のプロパティーの設定>詳細設定で ハードウェアアクセラレーターをかなり絞る(無効にする)と両方に 動画を表示できることが判明した。私のCPの場合は5段階のうち 2段階まで落とすとOK。なぜだかわからないが、いざとなれば この方法が使えるので、同じ現象が起こった場合はお試しあれ。

チップはMobility Radeon
ドライバーはATI Technologies Inc.

*現在のVAIO VGN-S92PS では動画の場合、本体液晶に表示されず、外部ディスプレイには表示されるので、そのまま使用している。

 

教室の照度検査

 H16年の学校環境衛生の基準の改定で、照度基準は、日本工業規格 照度基準(J I S Z 9 1 1 0 : 1 9 7 9 )の付表3- 1及び3- 2に示されている 下限値以上であること。ただし、教室及びそれに準ずる場所の照度の 下限値は3 0 0ルクスとする。さらに、教室及び黒板の照度は50 0ルクス 以上であることが望ましい。とされた。望ましいということは、学校薬剤師 としてはその基準を満たすように増灯をお願いすると言うことになるだろう。
 現実は黒板の下の左右は300ルクスを下回ることが多い。適切な黒板 照明を2灯は必ず必要になる。また、廊下側の一番前の席からみて、 黒板に窓の明るさが反射し、見えにくい場合が多い。15度以内に明るい 光源がないことという基準はあるが、実際に教師にその席に座ってもらい、 確認してもらうことが一番早道である。最前列の左右の席は1席分位後ろ に下げることが必要になる。

 

プールの残留塩素濃度

古い設備の場合、ポンプ室から近い部分は残留塩素濃度が高く、遠く離れた部分ではかなり低い場合がある。配管やポンプ能力の問題であるが、調節で解決できる場合がある。浄化された水が、プールに入る口(菊の花の形というか、ミカンの輪切りの形というか)はマイナスドライバーあれば、調節できる。ポンプに近い側の出口を絞るのである。ドライバーで真ん中のネジをゆるめ表側の板を少し廻して、出口の面積を少なくすると、遠いところまで、浄化されて塩素が注入された水が届くことになる。
授業前に計測し0.7mg/l になるように塩素剤を追加投入してもらっている。プールの水量と、直接投入用の薬剤の種類により計算し、表を作って壁に貼りだしておく。計測した残留塩素濃度により、一目で追加投入する薬剤量がわかれば、授業前に誰が管理しても同様の結果になる。たとえ、0.5mg/l あっても薬剤を追加してから授業を初めてもらう。こうするとなんとか授業が終了する時点でも基準量が確保されるであろうという説明をしている。

 

教室の二酸化炭素濃度測定

2つの教室にお願いし、3校時目と4校時目で測定している。一つは休憩中の窓開けを完全実施してもらい、一つは窓あけを強調しない。1校時につき1教室を3回測定する。測定と移動に約5分かかるのでそれを計算して測定時間を設定する。
3校時が始まった時刻にA教室、5分後にB教室、3校時の真ん中と終了時にまたそれを繰り返し、3校時終了時にはB教室の3回目が終了するように設定する。4校時も同様である。 合計12回測定し、グラフを作る。結果として、普通の場合窓あけを完全実施しないと二酸化炭素濃度は必ず基準を超えることになる。
かつて、いつも窓あけを実施している教室に窓を開けないようにお願いしたことがあり、3校時が終了する前に生徒が「気分が悪い、窓を開けさせてくれ。」と訴えはじめ、測定を中止した事がある。生徒の慣れというのが結構重要な要素になる。くれぐれも担任の教師にいつもの状態を聞いてから、検査する教室を決めた方がよい。